土木・建築業界の初心者AutoCADオペレーターが必ず押さえておきたい超実用テクニック11選
この記事で解決できる問題点・疑問点
  • AutoCADを使って仕事をすることになったけど、何から勉強したらいいのか分からない・・・

この記事では、AutoCADを使って仕事をすることになったけど、何から始めていいのか分からない・・・といった方を対象に、これだけしっかり押さえておけばある程度の仕事は自信をもってできるようになるAutoCADの必須スキル11選を紹介していきます。どれも実際に手を動かしてもらえば簡単にできる操作ばかりなので、是非試してみてください。

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AutoCAD図面の単位設定をmm(ミリメートル)またはm(メートル)単位にする方法

まず、単位管理のダイアログを開きます。

「形式」メニュー>「単位管理」

1単位管理コマンド

以下のようなダイアログが開きます。

単位をミリメートル(mm)に設定したい場合は以下のように設定します。精度が0になっているのは、ミリメートル単位まであれば十分だからです。精密機械などで、ミクロとかナノといったような精度が必要な場合は0.000のように精度を設定すれば大丈夫です。

2単位管理

 単位をメートル(m)に設定したい場合は次のように設定します。

ここで、精度が0.000となっているのはミリメートル単位の精度まで表示するということです。

3単位管理

以上で単位管理の設定は終了です。

AutoCADでの単位管理についてのより詳しい案内はこちらの記事を参考にしてください。

自由自在にオブジェクト選択を行う方法

AutoCAD 窓選択の方法

ここでは、下図のようにオブジェクトが配置されている状況で考えてみたい思います。

1オブジェクト選択素材

窓選択では、図面の左上にカーソルを持ってきて任意の位置でクリックします。

次に、図面の右下にカーソルを移動し、選択したい図面を完全に囲むことができる位置でクリックします。

2オブジェクト選択窓選択

すると、以下のように図面を選択することができます。

3オブジェクト選択窓選択

窓選択のポイントは、左上の点と右下の点が作る窓(長方形)に選択したいオブジェクトが完全に含まれていなければいけないという点です。例えば、以下の図を見てください。このように、交差はしているけど窓の内側に含まれていないオブジェクトについては選択されません

4窓選択問題点

5窓選択問題点

AutoCAD 交差選択の方法

交差選択においても、窓選択の時に使用した図面と同じケースで考えます。

6オブジェクト選択交差選択

交差選択の場合はまず、右下あたりの任意の位置をクリックします。

続いて、下図のように左上の任意の位置をクリックします。この時、右下の点と左上の点が作る長方形は、選択したいオブジェクトを内側に完全に含んでいる必要はありません

7オブジェクト選択交差選択

少しでも触れている部分があるだけで以下のように全てのオブジェクトが正しく選択されました。

8オブジェクト選択交差選択

さらに、AutoCADのオブジェクト選択の機能を使いこなしたい場合は以下の記事を参考にしてください。

オブジェクトスナップ機能の使い方

例えば、以下のような四角形オブジェクトが作図されている図面があったとします。

1オブジェクトスナップ素材

オブジェクトスナップをOFFにしている状態で図形にカーソルを近づけても何の反応もないことが分かります。

2オブジェクトスナップ反応なし

オブジェクトスナップ機能をONにするためには、下図の赤枠で囲まれた部分をクリックします。

すると図形にカーソルを近づけると端点などの特定の点を指定できるようになります。

3オブジェクトスナップ端点

また、ここでは「端点」を指定しましたが、どのような点にスナップするかについては、オブジェクトスナップのON・OFF切り替えボタンの右側のプルダウンメニューをクリックすれば設定することができます。

4オブジェクトスナップメニュー

このリストの中のスナップしたい点にチェックを入れることで、その点に自動でスナップできるようになります。また、ここでの設定は作図中常に反映されるため、端点や中心といった使用頻度の高い点だけにチェックを入れておくことがおすすめです。

4-1オブジェクトスナップメニュー

作図中に一時的に中点や近接点といった特定の点にスナップしたいときは、一時オブジェクトスナップ機能を使います。一時オブジェクトスナップ機能の使い方は、作図中にSHIFT+右クリックで一時オブジェクトスナップメニューが開くので、そのリストからスナップしたい点を選択するだけです。なお、この一時オブジェクトスナップについては、一度スナップしたら無効になるため再度使いたい場合はもう一度一時オブジェクトスナップから選択する必要があります。

5オブジェクトスナップ(shift右C)

オブジェクトスナップ機能の具体的な使用例やさらに詳しい内容を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

コーナー処理を自由自在に行う方法

「修正」メニュー>「フィレット」 もしくは、「修正」メニュー>「面取り」

2コーナー処理フィレット

まず、最初のオブジェクトを選択と要求されるので、コーナー処理をしたい1本目の線を選択します。

3コーナー処理フィレット

次に、2つめのオブジェクトを選択と要求されるので、Shiftを押しながら2本目の線をクリックして選択します

4コーナー処理フィレット(shift)

以上で、コーナーが自動的に接続されます。

5コーナー処理完成

同様に右の線分もやってみます。

6コーナー処理フィレット2

先ほどと同じようにコーナー処理がされました。

7コーナー処理フィレット2

実際にコーナーを接続するだけでなく、角を丸めたり(フィレット)、面取りを行いたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

AutoCADで図面を印刷する時に欠かせない「窓印刷」機能の使い方

まず、画面左上の印刷ボタンをクリックします。

その際、左下タブがモデルになっていることを確認しておいてください。

1印刷素材

印刷ウィンドウが開くので、まずそのままの状態を左下のプレビューで確認してみてください。

2印刷

3印刷プレビュー

デフォルトの状態だと表示されている画面がそのまま印刷範囲として設定されているので、毎回印刷レイアウトも変わってしまったり、余白の設定が上手くできていなかったりして、上手く印刷を行うことができません。

1度プレビューを閉じて再度正しい印刷設定を行う必要があります。

まず、印刷対象のドロップダウンから「窓」を選択してください。

4印刷窓選択

すると印刷範囲選択の画面に切り替わります。

まず、印刷したい範囲の左上の点を選択します。

次に、印刷したい範囲の右下の端点を選択します。

6印刷窓選択

もう一度プレビューを押して確認します。

7印刷窓選択

使用するプリンターは、それぞれの環境に合わせて選択してください。

以下は、A3横方向で図面をPDFとして印刷する場合の例です。

8印刷fin

以上で、窓印刷の操作は完了です。

回転コマンドでオブジェクトを思い通りに回転させる方法

ここでは、図面上にある特定の線分(例えば水平線など)の角度に合わせてオブジェクトを回転させる方法を解説します。

図のような長方形の角度(向き)を水平に引かれた線分(水平線)の角度に合わせたいというケースで考えることにします。

8回転参照R素材

「修正」メニュー>「回転」

9回転参照R

まず、オブジェクトを選択と表示されるので、回転させたいオブジェクトを選択します。

10回転参照R

次に、基点を指定と要求されるので、回転の基点としたい点を選択します。

11回転参照R

※これ以降の操作が通常の回転操作(角度指定による回転等)と異なるので注意が必要です。

回転角度を指定と要求されますが、無視してコマンドライン(F9)の「参照(R)」をクリックして選択します。(Rと入力してEnterでも可)

12回転参照R

参照する角度と表示されるので、もう一度基点で指定した点を選択します。

13回転参照R

続いて、2点目を指定と表示されるので、回転させたい長方形の底辺の反対の端を選択します。

14回転参照R

最後に、新しい角度を指定と要求されるので、水平線の反対側の端を選択します。

15回転参照R

以上の操作で、線分の角度に合わせてオブジェクトが回転されます。

16回転参照R

オブジェクトを回転させる方法は、他にも直接回転角度を指定したり、既知の座標点に合わせて回転させる方があります。もっと詳しく知りたい場合は、以下を参考にしてください。

図面の縮尺を1mmの狂いもなく正確に合わせる方法

尺度変更をする前に、まずは線分の端点のひとつを分かっている既知点の一つに合わせます。

1尺度変更で縮尺を正確に合わせる方法

「修正」メニュー>「尺度変更」

2尺度変更コマンド

オブジェクトを選択と表示されるので、尺度変更させたいオブジェクトを選択します。

3尺度変更オブジェクト選択

次に、基点を指定と要求されるので、尺度変更の基点としたい点(ひとつめの既知点)を選択します。

4尺度変更基点選択

尺度を指定と要求されますが、無視してコマンドライン(非表示の場合はF9で表示)の「参照(R)」をクリックして選択します。(Rと入力してEnterでも可)

5尺度変更参照R

続いて、参照する長さを指定と要求されるので、もう一度基点で指定した点と同じ点を選択します。

6尺度変更参照R1点目

続いて、2点目を指定と要求されるので、尺度変更させたい線分の反対の端を選択します。

7尺度変更参照R2点目

最後に、新しい長さを指定と要求されるので、2つ目の既知点を選択します。

8尺度変更参照R新しい長さ

以上の操作で、2つの既知点間の距離に合わせてオブジェクトの尺度が変更されます。

9尺度変更参照R完成

寸法値や文字のスタイルを一括で適用する方法

まず、「注釈」タブから「更新」をクリックします。

21寸法スタイル一括更新

続いて、窓選択(または交差選択)を利用して複数の寸法値をまとめて選択します。

22法スタイル一括更新

選択したらEnterをクリックして選択を確定させます。

23法スタイル一括更新

すると、一括ですべての寸法値のスタイルが更新されます。

24法スタイル一括更新

寸法スタイルを適用する以前に、寸法スタイルをどのように設定すべきか分からないという方は、以下の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。

AutoCADでエクセルやワードのように矢印や図形などのオートシェイプを効率的に使う方法

そもそも、AutoCADにはエクセルやワードのようにオートシェイプという機能が存在しません。そのため、まずオートシェイプ自体を作図する必要があります。

以下は、ポリラインとハッチングを利用して作図した矢印です。

1オートシェイプ

この矢印をエクセルのオートシェイプのように図面の中で何度も呼び出して再利用できるようにするためには、AutoCADのブロック機能を使います

「作成」メニュー>「ブロック」>「ブロック定義」

2オートシェイプ

ブロック定義ダイアログが開くので、まず下図の赤枠の位置にある「オブジェクト選択」をクリックします。

3オートシェイプ

矢印全体を囲んで選択します。

5オートシェイプ

オブジェクトの選択が完了したら、名前を入力して、基点の「画面上で指定」にチェックを入れてOKをクリックしてダイアログを閉じます。

6オートシェイプ

挿入基点を指定と要求されるので、適当な箇所をクリックします。以上でブロック定義は完了です。

7オートシェイプ

これでいつでも「ブロック挿入」から矢印を挿入することができるようになります。

ここで作成したような一度作ったオートシェイプブロックを他の図面でもいつでも使えるようにしたいという方はこちらの記事で紹介しているので是非参考にしてみてください。

ポリラインコマンドを使わずに一瞬で図形を合体させる方法

まず、「長方形」コマンドを使って図形全体を囲める大きさの長方形を作成します。

7オブジェクト合体境界作成長方形

8オブジェクト合体境界作成長方形2

続いて、「境界作成」コマンドで境界を作成します。

「作成」メニュー>「境界作成」

9オブジェクト合体境界作成コマンド

以下のような境界作成ウィンドウが開くので、下記のように設定をしてください。

10オブジェクト合体境界作成

内側の点をクリックと要求されるので、下図の場所あたりをクリックして指定します。

11オブジェクト合体

すると下図の赤線のように内側と外側の境界部分それぞれにポリラインが作成されます。

13オブジェクト合体境界作成

ここでは、内側のポリラインのみが必要なので、それ以外のポリラインをすべて削除します。

14オブジェクト合体境界作成完成

すると、合体したオブジェクトの輪郭のポリラインのみが残ります。

AutoCADで2つの既知点を利用して図面に座標値を設定する方法・図面から座標値を取得する方法

上で説明したきた「回転」コマンドや「尺度変更」コマンドに加えて、座標系の設定やブロック定義の機能を使うことで、数学座標系で作図されているAutoCAD図面を測量座標系に設定することができます

また、AutoCADの「データ書き出し」コマンドを使うことによって、一括してエクセルなどの外部ファイルに書き出すことができます。

内容的に非常に長くなりますので、詳しい内容が知りたいという場合は以下の記事を参考にしてください。

まとめ

この記事では、初心者AutoCADオペレーターが必ず押さえておきたい超実用テクニック11選について説明してきましたがいかがだったでしょうか?

実際、この記事で紹介している操作方法を覚えるだけである程度の土木・建築分野でのCAD業務はこなせるようになるのではないでしょうか?

それぞれの内容についてもっと深く知りたいという場合は、各テクニックの末尾に関連記事へのリンクがあるのでそちらからより詳しい記事に移動するようにしてください。

また、CADを快適に動かすために必要なパソコンのスペックを知りたいというような場合は、以下の記事を参考にしてください。

 

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この記事の監修協力
@ぽち
元大手不動産デベロッパー会社の開発部門勤務。大規模商業施設の設計から施工段階まで携わり、3DCADソフトからBIMソフトまで運用経験あり。現在は建設コンサルタント会社勤務で、中小建設業に対してCAD・BIMの導入支援やCADの講師としてCADの使い方を教えるなどをしている。

この記事の執筆者

きつね
きつね