AutoCADの初心者の方にとって、最初のうちはとっつきにくい部分のひとつが寸法や文字の書式設定ではないでしょうか?
- 図面を縮小したら文字が大きくなりすぎた・・・
- 図面を拡大したら寸法値の文字がなくなってしまった・・
- 図面の寸法スタイルを変更したいけど数が多すぎて大変・・・
この記事では、AutoCADの「寸法スタイル管理」機能を使って、正しく寸法値や文字の書式設定を行う方法を説明していきます。また、記事の後半では、定義した書式を一括で適用する方法についても解説しているので参考にしてください。
AutoCAD 寸法スタイルの設定方法
AutoCADで文字や寸法の書式設定を行う場合は、「寸法スタイル管理」や「文字スタイル管理」を利用して行います。ここでは、「寸法スタイル管理」で寸法値の書式設定を行います。
「形式」メニュー>「寸法スタイル管理」
もしくは、「注釈」タブの寸法スタイルのプルダウンから「寸法スタイル管理」を開くこともできます。
寸法スタイル管理を開くと、以下のようなウインドウが開きます。ここでは、新規の寸法スタイルを作成したいので「新規作成」をクリックします。左側のリストの選択中のスタイル(ここではISO-25)がこれから作る新しい寸法スタイルのベースとなります。
「寸法スタイルを新規作成」ダイアログが開くので、「新しいスタイル名」を入力して「続ける」をクリックします。
「寸法スタイルを新規作成:スタイル名」のダイアログが開きます。どの順番でも設定してもいいのですがここでは「寸法値」設定していきます。
まず、寸法値タブを開いて、「文字高さ」を設定していきます。(文字高さについてはそれぞれの図面の尺度に応じた数値を指定することがポイントです。ここで使用している図面は、メートル単位で作図された平面図です。たとえば、この図面がmm単位で書かれている場合には、同じ文字高さにしようと思ったら、2.5ではなく2500と指定する必要があります。何回でも修正できるのでいろいろ試してしっくりくる数値を指定すること大事です。)
次に、「寸法線からのオフセット」も併せて指定します。寸法線からのオフセットとは、寸法値が寸法線からどれくらい離れているかを指定するもので、文字高さの5分の1程度の数字にしておけば大丈夫です。
続いて、寸法線タブに移ります。ここでは、「補助線延長の長さ」と「基点からのオフセット」を指定してください。
「補助線延長の長さ」と「基点からのオフセット」とは、下図の部分になります。
続いて、シンボルと矢印タブから矢印のスタイルを設定します。矢印のサイズは寸法値の文字高さと同程度の大きさにしておけば問題ありません。
次は、基本単位タブをクリックして開きます。この図面の場合は、メートル表記で小数点第3位(mm)まで表示させたいので、以下のように精度を0.000と設定します。
全ての書式設定が終わればOKをクリックしてダイアログを閉じます。以上で設定した寸法スタイルを適用した寸法を作図すると以下のようになります。
AutoCAD 文字スタイルの設定方法と文字スタイルを寸法値に適用する方法
続いて文字の書式設定について説明します。まず、文字スタイル管理ダイアログを開きます。
「形式」メニュー>「文字スタイル管理」
以下のような文字スタイル管理ダイアログが開くので、「新規作成」をクリックします。
スタイル名に好みの名前を入力してOKをクリックします。
続いて、フォント名から好みのフォントを選択し、「適用」をクリックしてからダイアログを閉じます。これで文字スタイルの設定は完了です。
続いて、この文字スタイルを寸法値に適用する方法を紹介します。
まず、寸法スタイルを修正ダイアログを開きます。再度「形式」メニューから「寸法スタイル管理」を開き左のスタイルのリストから新規作成したスタイルを選択して、「修正」をクリックします。
寸法値タブの「文字スタイル」のプルダウンから先ほど作成した文字スタイルを選択します。(ここではメイリオ)
続いて、スタイルを変更したことが分かりやすいようにするため、精度を0.00に変更しておきます。
OKをクリックをクリックしてウィンドウを閉じれば寸法スタイルの修正が完了です。
次に先ほど作成した寸法値に修正した新しい寸法スタイルを適用します。
「注釈」タブ>「更新」(どこにあるか分かりづらいですが、下図の場所にあるアイコンをクリックしてください)
続いて、寸法スタイルを変更したい寸法値を選択します。
寸法値を選択したら、Enterをクリックして選択を確定させます。
すると、以下のように寸法スタイルが更新されます。
以上で、寸法スタイルの更新方法の説明は完了です。次は、複数の寸法値を一括で更新する方法を説明していきます。
寸法スタイル(文字や寸法値の書式)を一括で変更する方法
上の例では一つだけ寸法スタイルを変更する方法を見てきましたが、実際の図面ではひとつの図面の中に多くの寸法値が記載されていることがほとんどです。それを、一つ一つ選択して更新していたら大変ですね。ここでは、複数の寸法値のスタイルを一括でまとめて変更する方法を紹介するので参考にしてみてください。
まず、先ほどと同様に、「注釈」タブから「更新」をクリックします。
続いて、窓選択(または交差選択)を利用して複数の寸法値をまとめて選択します。
選択したらEnterをクリックして選択を確定させます。
すると、一括ですべての寸法値のスタイルが更新されます。
体系的にCADスキルを身につけるためには?
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まとめ
寸法スタイル管理、文字スタイル管理による寸法値や文字の書式設定の方法、また、その作成した書式を一括で適用する方法について説明してきましたがいかがだったでしょうか?
この寸法や文字のスタイルをしっかり理解することは、AutoCADを使いこなすためには必須の知識です。最初は手間に感じますが、慣れるまでは何度も繰り返し操作してみてください。