
AutoCADの作図は、基本的にモデルという空間のなかで行います。
このモデル空間には、1mm(ミリメートル)や1m(メートル)といった概念はなく、あるのは1という単位のみです。つまり、図面を書いたり修正したりするあなた自身が1という単位をmmにするのか、それともmにするのか定義する必要があります。
一見複雑なように感じますが、実際に作図を行うユーザー自身がmmなのかmなのか分かっていればいいだけです。しかも、1:1の空間であるので、「縮尺が200分の1だから実際の長さを200で割って作図する」といったことをいちいちしなくてよいので慣れてしまえばかなり便利です。
しかし、図面を共有したり、作図した人以外の人が修正を加えたりする場合には、それがどういう単位で描かれているのか伝える把握する必要があります。
そのため、AutoCADでは「単位管理」という機能を使って、自分の中で定義した単位をAutoCAD上で設定することができます。以下では、具体的にどうやって単位設定を行うかについて説明していきます。
AutoCAD 単位管理の使い方
まず、単位管理のダイアログを開きます。
「形式」メニュー>「単位管理」
以下のようなダイアログが開きます。
単位をミリメートル(mm)に設定したい場合は以下のように設定します。精度が0になっているのは、ミリメートル単位まであれば十分だからです。精密機械などで、ミクロとかナノといったような精度が必要な場合は0.000のように精度を設定すれば大丈夫です。
単位をメートル(m)に設定したい場合は次のように設定します。
ここで、精度が0.000となっているのはミリメートル単位の精度まで表示するということです。
以上で単位管理の設定は終了です。
mm(ミリメートル)からm(メートル)へ単位を変える場合の注意点
AutoCADでmmからm、または、mからmmというように単位を変更したい場合には注意が必要です。上記で説明した「単位管理」をmmからm、または、mからmmに変更しても、1は1のままです。自動で1000倍や1/1000倍をしてくれるわけではありません。
ユーザー自身が「尺度変更」コマンドを使って、1000倍や1/1000倍に変更する必要があります。まず、「尺度変更」コマンドを選択します。
「修正」メニュー>「尺度変更」
オブジェクトを選択と表示されるので、尺度を変更したい図面を窓選択で選択してEnterを押し選択範囲を確定させます。
次に、基点を指定と要求されるので、適当な場所を選択します。
尺度を指定と表示されるので、m表記からmm表記、すなわち1000倍にしたい場合は、1000と入力してEnterを押します。これで単位が1000倍に変更されます。
単位管理でミリメートル表記に設定している場合は、忘れずにメートル表記に変更しておいてください。
M表記からmm表記への変更は、0.001倍で同様の操作を行ってください。
以上で、単位の変換は終了です。
体系的にCADスキルを身につけるためには?
この記事では、AutoCADの使い方のひとつについて説明してきました。しかし、求めているCAD関係のテクニックやノウハウというのは、インターネットや専門書を探してもなかなか見つからないというのが現状です。
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まとめ
この記事では、AutoCADのモデル空間という概念とその中での単位の取り扱い方法について説明しました。単位管理は、必ずしも必要な作業というわけではないのですが、再利用性の高い図面を作る上ではやはりやっておくべき設定です。簡単な作業しかないのでぜひ設定するようにしてください。
また、より詳しい「尺度変更」コマンドの使い方についてはこちらの記事で紹介しているの参考にしてみてください。
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