- トータルステーションやトランシットを使って図面から現場にポイント(座標)を出したいけど、XY座標値からどうやって方向角や水平距離を算出したらいいんだろう?
この記事では、上記のような疑問に応える形で、三角関数を用いた測量計算について説明しています。
トランシット(トータルステーション)を用いた測量に必要なデータとは?
一般的にトランシットやトータルステーションを用いた測量を行う際のプロセスというのは、
- ①器械点(基準点1)にトランシットもしくはトータルステーションを設置する。
- ②器械点から後視点(基準点2)を視準し方向角をセットする。
- ③後視点を基準とした水平角(方向角)と水平距離のデータをもとに各測点を測量する。
簡単に説明すると、このような流れで測量作業が行われます。
しかし、図面から直接取得できる情報というのはXY座標値だけです。器械点(基準点1)と後視点(基準点2)からみた角度や距離の計算については、実際に測量をする人が行う必要があります。
以下では、XY座標値から三角関数を用いて水平角と水平距離を算出する方法を説明します。
水平角(方向角)と水平距離を求める
以下の図は、器械点と後視点の2つの基準点をもとに、測点A(x,y)の測量を行うケースを図示しています。
ここで、器械点と後視点を基準にして測点Aの位置を求めるためには、後視点と測点Aの角度である夾角θと器械点から測点までの距離である水平距離Lを算出する必要があります。
座標値から方向角と夾角を求める方法とは?
夾角とは2つの直線が作る角度のことで、点Aの方向角θ1と後視点の方向角θ2の差で求めることができます。(測量でいう方向角とは、X軸から時計回りに計測した角度のことをいいます。)
夾角θを求めるには、まず、方向角θ1と方向角θ2の2つの方向角を算出する必要があります。
ここで、計算を簡単にするために、θ1を含む直角三角形を取り出して回転させます。すると、以下のようになります。
上図のように、tan(θ)の逆関数を求めることで簡単にθを求めることができます。
ちなみに、エクセルのatan()関数や関数電卓を用いることで、arctan(アークタンジェント)の計算は簡単に行えます。
ここでの注意点は、エクセルのatan()関数で計算を行うと角度がラジアンで計算されることです。測量では、弧度法(ラジアン)ではなく度数法(°′″)で角度を算出する必要があるため、弧度法表記から度数法表記に角度を変換する必要があります。これもエクセルのDEGREES ()関数を用いることで簡単に変換できるのでぜひ試してみてください。
また、方向角を求めたい座標点が第Ⅰ象限にない場合については、少し注意が必要です。例えば、下図の後視点については、第Ⅲ象限にあるためθ2は180°を超えてしまうため三角形が成立しません。そのような場合は、座標点がどの象限にあるかを条件分岐をして計算する必要があります。
(なお、下図は測量座標系を採用しているため象限の順番は時計回りになります。)
以上で、2つの方向角が求まりましたので、
夾角θはθ=θ2-θ1 で計算することができます。以上で、方向角と夾角の説明は終了です。
座標値から水平距離を求める方法とは?
角度の計算と違い、水平距離を求める計算は非常に簡単です。
三角形の斜辺の公式に当てはめるだけで、座標点がどこに位置していようが簡単に計算できます。
以上で、水平距離の計算は完了です。
Excelで測量計算を行う
上記で説明したような測量計算はExcelソフトを使って簡単に行うことができます。
以下のExcel測量計算ソフトを利用することで、誰でも簡単に測量計算が行えるのでぜひ検討してみてください。
ドロップダウンリストから選択するだけ
- キャンペーン価格:980円(税込み)
- ドロップダウンリストから選択するだけで測量計算ができる
- 座標リストを簡単に印刷して配布可能
- ソフトの詳しい説明はこちら
まとめ
測量における方向角と水平距離についての説明を行ってきましたがいかがだったでしょうか?
実際、上記の計算についてはCADソフトやエクセルを使うことで簡単に行うことができます。しかし、仕組みを理解することで仕事においていろいろと応用が利くようになり、時間の短縮やミスの低下といった成果につながるはずです。ぜひブックマークしていつでも読み返せるようにしてみてください。
また、測量計算を行う前の図面から座標値を取得する方法についてはこちらで説明しているので参考にしてください。