- グラフィックボード(GPU)って何?どんな役割を担っているの?
- グラフィックボードってGeForce RTX3060やIntel Iris Xe Graphicsというように難しい名前がついていていろんな種類があるけどどこが違うの?その違いを知りたい。
- 目的や用途に合ったおすすめのグラフィックボードがどれか知りたい。
ノートパソコンの購入を検討しているときに、
「デザインや動画編集、CG制作といったクリエイティブな作業をノートパソコンで行うならグラフィックボードの性能が重要だよ」
というようなアドバイスをもらったことがある人は多いのではないでしょうか?
実際にその通りでグラフィックボード(GPU)の性能はとても重要な要素なのですが、グラフィックボード性能が優れていると何が良いのかや、具体的にどんなグラフィックボードが搭載されているノートパソコンを選ぶべきか、というようなことまで分かっているという方は少ないと思います。
この記事では、そのような疑問に答える形で、実際にパソコンを購入するときに正しい判断ができるためのグラフィックボード(GPU)性能の見方のポイントから用途別のおすすめのグラフィックボード(GPU)を解説しています。これからパソコンの購入を考えているという方はぜひ参考にしてください。
グラフィックボードとは?
グラフィックボードとは、ビデオカード(グラフィックカード)やグラフィックスともいわれ、映像関連の計算処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)によってディスプレイに3D映像などのグラフィックスを出力することを目的としたPCパーツです。特に高負荷のかかる3DCGや3DCAD、4K映像の編集作業などには高性能なグラフィックボードが必須で、グラフィックボード選びを間違えるとまともに作業ができなくなってしまうので正しいグラフィックボード選びが重要ですね。
グラフィックボード性能の見方のポイント
グラフィックボードやGPUで検索すると、以下のような一見するだけではよく分からない数字や記号が書かれた商品の紹介が表示されます。
グラフィックボードの販売イメージ
この情報からどうやってグラフィックボード(GPU)の性能を判断すればよいのでしょうか?
以下では、初心者でも簡単にGPU性能が判断できるようになるための見方のポイントを解説しています。
インターフェース
インターフェースとはマザーボードへの接続規格のことで、グラフィックボードの接続にはPCI-Expressという規格が採用されています。インターフェースの見方は以下のようになります。
接続規格名:パソコンのマザーボードには、パーツを接続するための拡張スロットがあります。その接続に用いらる規格で現在主流となっている規格がPCI-Express(PCLe)という規格になります。PCI-Express拡張スロットには、グラフィックボード以外にもSSDなどのストレージや拡張カードなど様々な種類のパーツを接続することができます。
世代:3.0や4.0という数字はPCI-Expressの世代を表しています。世代が上がることに転送速度が改善され、PCI-Express4.0はPCI-Express3.0の約2倍の転送速度となっています。
レーン数:レーン数とはデータの伝送路のことです。転送速度は「1レーンあたりの転送速度×レーン数」で倍数的に向上するため、レーン数が多いほど速度を向上させることができます。
周波数(クロック数)
CPUがパソコン全体の計算処理を担当しているのに対し、GPUはグラフィックに関係する部分だけの計算処理をCPUの代わりに担当しています。具体的には、GPUはグラフィック関係の基本命令をだすことでPCの映像出力を制御しています。その命令を1秒間に何個出せるのかというのが、周波数(クロック数)といわれ、Hzで表されます。
例えば、1.20GHzの性能のGPUであれば、1秒間に12億回の命令を出せるということを表しており、単純にこの周波数(Hz)の数値が大きければ大きいほど高速な処理能力を持っているということになります。
メモリ容量
グラフィックボードのメモリは、VRAMともいわれ、グラフィックボード専用のメインメモリだということができます。このメモリの容量が大きければ大きいほどたくさんのデータをためておくことができるため、再計算に必要な時間を短縮できます。反対に容量が小さいと、多くのデータをためておくことができないので、都度計算が必要になり時間がかかってしまいます。
消費電力(TDP)
TDPとは、Thermal DesignPower(熱設計電力)のことで、消費電力を表しています。ひとつ注意が必要なのは、TDPは定格クロックでパソコンを使用した時の消費電力であるという点です。Turbo機能により最大クロックの出力でパソコンを稼働させ続けた場合は、消費電力はTDPを上回る数値となってしまいます。
最新・人気グラフィックボード(GPU)44モデルを徹底比較
ここでは、人気のグラフィックボード(GPU)44種類の性能比較を行っています。比較対象のグラフィックボード(GPU)については、マウスコンピューター、Lenovo、Dell、HP、ASUS、パナソニック、ソニー、東芝のノートパソコンで現在実際に使われているグラフィックボード(GPU)を対象にしています。(世代の古いモデルや取り扱いが非常に少ないモデルについては比較対象から外しています。)
また、グラフィックボード(GPU)性能を図る指標としては、PassMarkのベンチマークの数値を使用しています。PassMarkについては以下で詳しく説明しています。
PassMarkのベンチマークとは?
ベンチマークとは、PassMark社の公表しているグラフィックボード(GPU)性能を表す数値で、グラフィックボード(GPU)性能を比較するために使われます。数値の見方としては、単純に数値が高ければ高いほどグラフィックボード(GPU)性能が高いとみることができます。
以下は、用途別のPassMarkスコアの目安数値になります。
- 2,500未満:事務作業(Microsoft office)、テレワーク(Zoom、Chatworks)
- 2,500以上:デザイン作業(Photoshop、Illustrator)、動画編集(Premire Pro)、設計業務(CAD)
- 10,000以上:3DCG制作、3DCAD、4K動画編集、オンラインゲーム
- 20,000以上:マイニング、機械学習
また、PassMarkのソフトウェアをダウンロードすれば実際に自分の使用しているパソコンのグラフィックボード性能を図ることもできます。記事下部にPassMarkのソフトウェアの利用方法を載せておくので興味がある方は試してみてください。
最新・人気グラフィックボード(GPU)44モデル徹底比較
現在実際に販売されているノートパソコンに搭載されているグラフィックボード(GPU)の一覧です。
高性能で人気があるグラフィックボードは、「GeForce RTX3060(Mobile)」や「NVIDIA RTX A2000(Mobile)」といったモデルで、3DCGや4K動画編集など負荷のかかる作業も問題なくこなすことができます。実際に、各メーカーの高性能ノートパソコンで上記のモデルが多く使用されています。また、デザイン作業や動画編集などを行うのであれば、最低でも「GeForce GTX1650(Mobile)」、CPU内蔵タイプであれば「Intel Iris Xe Graphics」以上のグラフィックボードを使いたいところです。
※グラフィックボードのモデル名(型番)をクリックすると、クロック数やメモリ容量、消費電力、推奨用途などの詳細情報を確認できます。
GPU性能 / PassMark | |
GeForce RTX3080Ti(Mobile) | 20050 |
GeForce RTX3080(Mobile) | 16591 人気 |
GeForce RTX3070Ti(Mobile) | 18961 |
GeForce RTX3070(Mobile) | 15237 人気 |
GeForce RTX3060(Mobile) | 12785 人気 |
GeForce RTX3050Ti(Mobile) | 9595 |
GeForce RTX3050(Mobile) | 9067 |
GeForce RTX2080(Mobile) | 15107 人気 |
GeForce RTX2070(Mobile) | 12354 |
GeForce RTX2060(Mobile) | 11355 人気 |
GeForce GTX1660Ti (Mobile) | 10176 |
GeForce GTX1650(Mobile) | 6969 人気 |
GeForce GTX1070(Mobile) | 10465 人気 |
GeForce GTX1060(Mobile) | 8161 |
GeForce GTX1050Ti(Mobile) | 5919 |
GeForce GTX1050(Mobile) | 4462 |
GeForce GTX980M | 7306 |
GeForce GTX970M | 5767 |
GeForce GTX965M | 3811 |
GeForce GTX960M | 3413 |
GeForce GTX950M | 2596 |
GeForce GTX880M | 3888 |
GeForce GTX870M | 3343 |
GeForce GTX860M | 3030 |
GeForce GTX850M | 2558 |
NVIDIA RTX A5000(Mobile) | 16103 |
NVIDIA RTX A4000(Mobile) | 16030 |
NVIDIA RTX A3000(Mobile) | 13205 人気 |
NVIDIA RTX A2000(Mobile) | 10144 人気 |
Radeon RX6800M | 9309 |
Radeon RX6800S | 13895 |
Radeon RX6700M | 11966 |
Radeon RX6600M | 10211 人気 |
Radeon RX5600M | 738 人気 |
Radeon RX5500M | 4276 |
Radeon RX5300M | 3854 |
Radeon RX580 | 8913 |
Radeon RX560 | 3590 |
Radeon RX550 | 2719 |
Radeon RX540 | 1795 |
Intel Iris Xe Graphics | 2766 CPU内蔵 |
Intel UHD Graphics 10gen | 1561 |
Intel UHD Graphics 750 | 1761 |
Intel UHD Graphics 730 | 1581 |
※ノートパソコン版のグラフィックボードとデスクトップ版のグラフィックボードは、同じ型番でも性能ご異なります。
Nvidia製グラフィックボード 各シリーズの特徴
Nvidiaは、グラフィックボード分野においてトップシェア誇る企業で、大きく分けて「GeForce RTX(GeForce GTX)」と「NVIDIA RTX(Quadro)」という2つのシリーズのグラフィックボードを販売しています。
GeForce RTX(GeForce GTXシリーズの後継モデル)
GeForceシリーズは、最もよく利用されているグラフィックボードのひとつで、ゲーミング向けという位置づけでNVIDIAから販売されているグラフィックボードです。ゲーム向けという位置づけではありますが性能自体は十分なため、NVIDIAが提供しているStudioドライバと呼ばれるドライバソフトを利用すると、グラフィックボードが業務向けに最適化され、デザイン作業や動画編集作業、CG制作作業などのクリエイティブな用途でも十二分に利用することができます。
NVIDIAがチップを提供して、MSIやASUSなどのボードメーカーが製品化することが特長です。
NVIDIA RTX(Quadroシリーズの後継モデル)
GeForceシリーズがゲーミング向けという位置づけであったのに対し、NVIDIA RTX(Quadro)は、主に業務向けという位置づけでNVIDIAから販売されているグラフィックボードです。具体的には、3DCGのモデリングやレンダリング、4K動画編集、CAD、デザイン作業などのクリエイティブワークで利用されることが多いモデルです。
ボードメーカーを介さず、NVIDIA自身でグラフィックボードを生産するため安定した品質で供給されることが特徴です。
以上がNVIDIAが販売しているグラフィックボードそれぞれの特徴です。
簡単にまとめると、動画やWEBサイト、ゲームといったコンテンツを楽しむのであればGeForce RTX、コンテンツを作るのであればNVIDIA RTXがおすすめといえます。
AMD製グラフィックボードの特徴
AMDとは、現在、Intelに次ぐCPUのシェアを誇る企業で、RADEONというブランドでGPUの開発を行っています。NVIDIAほどのシェアはありませんが、NVIDIAにも引けを取らない性能や優れたコストパフォーマンスでファンから人気があります。
特に、AMD製のCPUを搭載したパソコンの購入を考えているのであれば、CPUとの相性が優れたAMDのRADEONシリーズのGPU搭載モデルを選ぶことがおすすめです。
IntelのCPU内蔵グラフィックボードの性能は?
グラフィックボードというと一般的にはCPUとは別に取り付けるというイメージがあると思いますが、Intel製のCPUの中にはグラフィックボードが内蔵されているモデルも多くあります。
「Intel Iris Xe Graphics」や「Intel UHD Graphics」といったグラフィックボードが代表的で、特に「Intel Iris Xe Graphics」はCPU内蔵でありながらPassMarkスコアが2,500を超えており、デザイン作業や動画編集作業などクリエイティブな仕事も十分にこなすことができます。
最高性能デスクトップ並みの映像処理性能を求めるなら
上記で説明した「GeForce RTX3080(Mobile)」や「NVIDIA RTX A5000(Mobile)」といったグラフィックボードであれば、ノートパソコンであっても3DCGや4K動画の編集・書き出しといったパソコンに高負荷がかかる作業も十分にこなすことができます。
しかし、それでは満足できない。より高スペックなグラフィックボード性能が欲しいという方は、外付けのグラフィックボード(GPUボックス)を利用するというのも一つの手です。
値段は張りますが、必要な時だけノートパソコンに接続すれば、高性能デスクトップパソコン並みのグラフィック性能を手に入れことができます。
※注意点は、Thunderbolt 3に対応したノートパソコンでないと利用できないという点です。
まとめ
この記事では、ノートパソコン向けのグラフィックボードについてその性能の見方から、各グラフィックボードの特徴、用途別のおすすめグラフィックボードまでを紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
オンラインゲームはもちろんですが、デザインや設計、動画編集など作業をする上でも、ストレスなく効率的に作業を行いたいのであれば、優れたグラフィックス性能は必要不可欠です。
ここまで読んでもらえたのであれば、ある程度のグラフィックボードの選び方がわかったと思いますので、ぜひノートパソコンの購入時の判断の一助にしてみてください。
また、パソコンの頭脳であるCPUについては、以下の記事で性能の見方から各モデルの特徴まで紹介しているので興味がある方は読んでみてください。
●目的・用途別のおすすめノートパソコン比較ランキング
Q&A